こども応援ひろば2010パートⅡ

村上学園は今年、丁度創立70周年を迎えることとなった。その記念行事の一つとして、1月15日の“こども応援ひろば”に、声学科、童謡歌手、ソプラノ歌手である安田祥子さんを迎え、「歌こそ子育ての原点」というテーマで話して頂いた。

昭和61年に妹の由紀さおりさんとスタートさせた童謡コンサートは国内、海外での公演を続け、平成18年11月8日に2,000回達成記念コンサートを開催され、今年の4月には25周年を迎えられる。

さて、会場には一般の方々も多く、遠くは北陸から来られた方もおられ、学生たちも真剣に聞いていた。

日本の歌が、子どもの育ちにいかに大きな影響を与えるかを語られた。親が子に歌ってやること、童謡を歌うことであり、母の声、祖母の声で何気なく口ずさんでやることが、子どもにとってとても大事なこと。

童謡唱歌は極めて短いものであるが、そこには心がこめられている。『シャボン玉』はわずか40秒ほどである。“シャボン玉飛んだ 屋根まで飛んだ 屋根まで飛んでこわれて消えた ……”。『ぞうさん』“ぞうさんぞうさん おはながながいのね そうよ 母さんもながいのよ ……”。素晴らしい歌である。こういった歌を毎日、母親が口ずさんで、インプットしていく。先日も、テレビで幼い姉妹が『故郷』を歌っていた。“兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川 …”。姉妹は“小鮒釣りし”を“子ブタつりし”と歌っていた。意味を分かって歌っていたわけではない。呪文の様に歌っていた。このように、子どもが大人になって、初めて意味が分かるといったものはいくらでもある。

「赤いくつ」という歌。その歌詞の中に“異人さん”というのがある。異人さんという意味が子供には分からない。“いい爺さん”と思っている子もいるし、“ひい爺さん”と思っている子もいる。それでいいのである。家の中に、歌があること自体が素晴らしい。

母親は、いろいろな童謡を鼻歌でもいいから口ずさみ、子どもを寝かせる時には耳元で子の肩を叩きながらぜひ子守り唄などを歌ってやってほしい。

日本の歌には、季節を歌うものがいっぱいある。それは、人の心に届くものである。ところが、最近の音楽、歌は映像を見て楽しむものであり、歌詞が心に届いていないように思う。日本の歌は歌ったり、聞いたりしながら、その風景を想像させる。それは、皆それぞれ違っている。その時に想像すること。そして、長じてその後に思い出した時に、タイムスリップする。思い出と一緒に聞く。美しい日本語、美しいメロディー、美しい言葉で綴られる日本の唱歌や童謡には気くばり、思いやりが込められている。ぜひ大事に歌い継いでほしい。やさしい歌が、溢れる家にしてもらいたい。親が、童謡を何気なく口ずさむことによって、笑顔いっぱいの子どもたちが育つなど、親が子どもに歌を歌ってやることの大切さを述べられた。

ことに本学学生は、将来、幼児教育の専門家になろうとする者が多いからか、講演後も、質問が出たりして、彼らにとっても、いい勉強になったことと思う。こどもの未来への大きな指針となったのではないかと思う。

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