1月16日、女優の三林京子さんを迎え、「私の子どもだったころ」をテーマに話して頂いた。昼の2時からの講演だったが、12時40分頃には本学に来られた。控室で、吉岡副学長とともに三林さんと1時間近く話をさせてもらった。住吉公園の近くにお住まいで、私の家から数分の所。そんなことから住吉大社の太鼓橋、近くの浅沢神社、ここは芸能の神様とのこと。さらにはその傍にある喫茶店のことなど、極めてローカルな事柄も交えて話が弾んだ。もちろん話の中心は芸に関すること、そして大阪府の教育委員をされていたことから教育に関すること等々だが、そのパワーに圧倒されてしまった。今の若い人たちには厳しさが足りない。家庭での躾、学校での教育にも厳しさが必要ではないかと言っておられた。
さて、会場には一般の方、学生たち。今どきの学生のこと、私語するような失礼がないかと心配したが、全くの杞憂に過ぎなかった。三林さんが登壇、話し始めるや、その迫力、パワーに圧倒され、場内は「シーン!」。頬杖でもついていようものなら、怒鳴られそうな緊迫感すらあった。
講演は、正しい姿勢、正しい座り方が大事ということから始まり、子どもの頃、“戦争ごっこ”“お姫様ごっこ”“ままごと”といった“ごっこ遊び”をする中で、創造力が培われていったなど、物のない時代に生まれ育った頃の経験を話しながら、今日の子ども・学生にとって大切なことは何なのかを熱心に語られた。父からは、「寄り道をせい」「怒ってくれる人を大事にせよ」と言われた。「自分の部屋をきちんとできないようなら、仕事場に行っても何も出来ない」「ペットボトルでお茶を飲むことはやめ、自分でお茶を入れる。これは、日本の文化である」「挨拶ができること。それは、家庭の中でも」。また、興味あることに挑戦し、そこから色々なことを学んでいくことの大切さを述べられた。
「若い頃には、先輩からの色々ないじめもあった。しかし、自分のことを考えてくれていると思って、気にせず黙々と修業に励んだ。そしてよくみると、いつの間にか、いじめた側は、みんな芸能界から消えてしまっている。今は、いない。」という言葉は、印象的であった。講演が終わると、学生や一般の方から、自らの生き方、あるいは自分の子の将来などについての質問があった。
それにしても、会場に三林さんの声がとどろくともいえる大きな声。話す側の迫力、熱意、貫禄がものをいう。それはどこから出てくるのか。それは厳しい芸の道、諸々の勉強、さまざまな体験・経験から滲み出てくるものであろう。一朝一夕に身につくものではない。話す力、聞かせる力を感じた。このことは、すべての教師にも言えることであろう。