令和5年度 学位記授与式 学長式辞
2024年 3月 22日
式辞
本日、ここに令和5年度 東大阪大学・東大阪大学短期大学部学位記授与式を挙行できますことは、誠に喜ばしく心からお祝い申し上げます。本日、学位記を授与されました皆様、誠におめでとうございます。
ご家族の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。今日まで、長きにわたりお子様の勉学を支えてこられましたご家族の方々に敬意を表しますとともに、心よりお喜び申し上げます。
お子様の在学中、本学へのご理解とご支援、ご協力を賜りましたこと、教職員を代表して暑く御礼申し上げます。
また、東大阪市長 野田 義一 様、 東大阪市教育委員会教育長 古川 聖登 様、 株式会社アイビック 孫 雪飛 様、 桃愛会会長、 翔友会会長、 大学・短期大学部 後援会役員の方々をはじめ、ご来賓の皆様には、公私ご多用にもかかわりませず、ご臨席を賜りましたこと、まことにありがたく、心より御礼申し上げます。
新たな一歩を踏み出そうとしている卒業生の皆様、コロナ禍を潜り抜け、ようやく日常の学生生活を取り戻そうとしてきた時に、卒業となりました。
コロナ禍で十分経験できなかった大学祭も、本年度は村上学園フェスタとして組み込まれた、盛大な催しとなりました。
卒業生の皆様は、コロナのため学園祭を全く経験したことが無く、本年度の大学祭を兼ねた村上学園フェスタは、大変新鮮な思いで参加されたことと思います。実行委員の人たちは、経験したことのないこの行事に、ゼロからの出発として企画運営に携わり、教職員、後援会の方々、地域の方々に支えられながら盛大な行事を創り上げてくれました。
村上学園フェスタという行事を通してのこの経験は、参加した人たちみんなの喜びであり、貴重な思い出に残る一コマであると思います。
新年早々の一月一日、能登半島地震に見舞われ、二か月半が経つ今、寒さの厳しい能登の地域の人々は、復興への努力に前向きに生きようとされている姿を報道を通し目にする毎日です。日本は地震や火山活動が活発な環太平洋変動体に位置しており、地震大国と呼ばれています。私たちは、過去の大地震とその被害からの教訓を振り返り、いつ起こるかわからない地震への日ごろの備えしてきました。
ここ30年で起こった大きな地震でも、阪神・淡路大震災、新潟中越地震、東日本大震災、熊本地震、北海道胆振東部地震、等があります。その都度、過去の教訓から学ぶことがありたくさんあり、対応してきました。しかし、地域が違えば、予想もしない新たな課題も浮かび上がってきます。災害に合われた当事者の方の経験談をお聞きすると、「マニュアルは大事であるが、そのマニュアル通りにいかないとっさの判断が迫られる事態が起こる。マニュアル通りに対応できない事態が起こることがある」ということを話されています。
地域、地形が違い、人々の生活の仕組みも異なる社会では、過去の教訓を頼りにしながらも、その場の状況に応じた判断をする必要性を迫られることがあります。今回も、能登半島という地域、地形の中での災害は、今までの経験では分からなかった、その地域での課題も浮き彫りになりました。
震災時だけではなく、日々の社会生活で、マニュアルを基本に、その場の状況を読み判断する能力と行動力を持ち、その状況に立ち向かい進んでいく必要があります。私たちは、常に、このような能力を磨く努力を忘れないでいたいものです。
さて、
卒業生の皆様は、これから仕事に着き、また進学しさらに勉学に励み、社会人として自分の人生を歩んでいこうとされています。
京セラ、第二電電(KDDI)の創業者である「稲盛 和夫)」という実業家がおられました。(2022年8月 90歳でお亡くなりになりました。)
一時、経営破綻した日本航空の再建にもリーダーシップを発揮し、日本経済に大きく貢献された方です。
ご自分は、若いころ恵まれた環境のもと、恵まれた中で生活してきたわけではなく、病気も含め自分が思い描くようには進めず、失敗の連続であったと語られています。そうした中で、仕事に立ち向かう信念や考え方を、ご自分の体験を振り返り、後世の方々に伝えたいという願いで書かれている著書がたくさんあります。それらを読み、私自身も、今日まで年を重ね生きてきた人生を振り返り、納得する点がたくさんあります。そのいくつかを紹介します。
自分の道をこれから切り開いていく若い人たちは、同じ轍(テツ)を踏んではなりません。(同じ失敗をしてはなりません。)幸運に恵まれようと、災難に遭遇しようと、常にプラスの「考え方」を養い、実践していくことに努める。人生の鉄則はそれに尽きるといってよい。
「大きな志を持つこと」「常に前向きであること」「努力を惜しまないこと」「誠実であること」「創意を凝らすこと」「挫折にへこたれないこと」「心が純粋であること」「謙虚であること」「世のため 人のために行動すること」そして、「感謝の心を持っていること」と述べておられます。
また、
「強く一途な信念が勇気を奮い起こす。これからの日本を担う若い人たちには、ぜひ「信念」の持つ力を信じてほしい。限りなく純粋で強烈な信念を胸に、ひたむきに努力を重ねる、このような考え方のもと、懸命に生きることで、人生はより実り多きものになるのみならず、この社会も豊かで美しいものに違いありません。」とも語られています。
これから皆様は、社会人として仕事や勉学に励む日々の中で、社会を支え、人々を支えていくわけですが、限りなく純粋で強烈な信念を胸に、ひたむきに努力を重ね、自分の人生を実り多きものにしていってほしいと思います。一人一人が行動し実行していくことで、社会が豊かで美しいものになっていくのです。
東大阪大学、東大阪大学短期大学部での学びを土台に、この世に一人しかいない自分の、自分らしさを発揮し、活躍されることを期待しています。
健康に気を付け、未来に向かって、「自分らしく」さらに成長していきましょう。
本日は誠におめでとうございます。
令和六年 三月十八日
東大阪大学・東大阪大学短期大学部
学長 吉岡眞知子