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令和5年度 入学式 学長祝辞 新着情報

2023年 4月 3日

式辞

 春、自然界が一斉に新しい命の躍動を始めました。今日の佳き日に、日本各地、いや、世界各国から、東大阪大学・東大阪大学短期大学部に入学された皆様、「ご入学おめでとうございます」。
皆様の、ご入学を心より歓迎いたします。
 今日までお子様を支えてこられたご家族や、関係者の皆様がたに対し、心より、お祝い申し上げます。
 また、公私ご多用にもかかわりませず、東大阪市教育委員会教育長 古川聖登 様、株式会社アイビック代表取締役 品川哲也 様、桃愛会会長 村上公子 様、翔友会会長 小林浩生 様、後援会会長 藤本 靖子 様をはじめ、ご来賓の方々には ご臨席いただきましたこと、誠にありがとうございます。

 本学は、1965年(昭和40年)村上学園が創立25周年を迎えるにあたり、地域社会の要望に応えて創立された布施女子短期大学として出発し、1967年、布施女子短期大学を東大阪短期大学に名称変更され、時代の変化と共に地域に開かれた大学として、さらなる発展を目指してきました。2000年(平成12年)から男女共学となり、2003年(平成15年)4月、四年制大学として、東大阪大学が「こども学部」という 全国初の学部名称を有し開学しました。それに伴い、短期大学は東大阪大学短期大学部に名称変更し、大学2学科、短期大学部3学科を有する学園として発展してまいりました。ちょうど今年は大学開学20周年の年となります。また、 2025年には短期大学部開学60周年を迎える、伝統ある学園です。
 本学は、一貫して、地域社会と共に地域の方々に支えていただき、地域に開かれた小規模大学として歩んでまいりました。建学の祖、村上平一郎先生が、学園設立を志され、「万物感謝・質実勤労・自他敬愛」の学園訓を掲げられました。この建学の精神は、本学が目指す「学問を通して人間を作る教育」の支柱となっております。
この教育目的を実現するため、小規模大学の特徴を生かした温かい家庭的な雰囲気の中で、学生さんと教職員が共に集い生活し、時には地域の方々と共に集い過ごす場を用意し、実践的な教育をしております。

 国際社会の今、皆様はこれから世界を意識し、世界の人たちと関わり生きていくわけです。 今日、入学された人たちの中に、中国、ベトナム、ネパール、ミャンマー、フィリピン、バングラデシュから、日本への留学を志されて本学に入学された方々がおられます。さらに、大阪、三重、奈良、京都、和歌山の近畿圏はもとより、北海道、茨木、静岡、福井、広島、鳥取、香川、愛媛、佐賀と、日本の各地から本学を選び入学されました。 このような仲間と、自分の生まれ育った国や地域の生活文化を紹介し合い、語り合い、知らない世界を知り、共に生活する学生生活は、新しい発見があり、自分の視野を広げることができることでしょう。専門分野の学びと共に、これからの国際社会、多文化共生社会を生きる第一歩として、貴重な2年間、あるいは4年間となっていくことでしょう。

 さて、
 鷲田清一(わしだ・きよかず)という哲学者の著書に「『待つ』ということ」があります。
「現代は、待たなくてよい社会になった。待つことができない社会になった。」携帯電話が普及し、例えば、待ち合わせの形が変わった。待ち合わせに遅れそうなら、待ち合わせの時刻のちょっと前に移動先から連絡を入れる。電話を受けたほうは、待つことなく別の用事を済ませる。「待つ」ことに苛立つこともなく、待つことなしに時間をつぶすことができる、便利になったというのです。
「待たない社会」「待てない社会」になっている現代、意のままにならないもの、どうしようもないもの、じっとしているしかないもの、そういうものへの感受性を亡くし始めたというのです。「偶然を待つ」「自分を超えたものにつき従う心根」を失ったのだろうか。「時が満ちる」「機が熟すのを待つ」「未来というものの訪れを待ち受ける」ということを、私たち人間はできなくなっていくのだろうか、と問うています。
 便利になり、「待つ」ということが少なくなっている今、時にはゆっくり待ちながら自分と語る時間、ぼーっと考える時間、自分と向き合う時間は、自分の心を熟す時間でもあります。
 大学生活の2年間、あるいは4年間の時間を、どのように過ごすかを、ゆっくりじっくり考え描いてみましょう。時には描いたように進まないことも出てくるはずです。その時は「休憩する」「機を熟すのを待つ」こと、それは、人間の持っている感受性、心の内を磨く時間でもあり、自分自身にとっての大事な時間なのです。急がず、「ゆっくり」自分と語り、自分らしさを見つけましょう。一人一人の歩幅は違います。大学生活の時間も焦らず、ゆっくり自分らしく進んでいってください。
 私たち教職員も、皆様の横で、ゆっくり、時には待ちながら、「一人一人の未来を想像させていただきながら」支援したいと考えています。 友達同士で、先生方と、たっぷり語り合い、ゆっくり「自分探しの学生生活」をスタートしましょう。

 本日は、ご入学、まことにおめでとうございます。

令和5年4月3日
東大阪大学・東大阪大学短期大学部
学長 吉岡 眞知子

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