東大阪大学×UNIQLO “届けよう、服のチカラ”プロジェクト レポート&インタビュー
UNIQLO(ファーストリテイリング)がUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とともに取り組んでいる参加型学習プログラム、“届けよう、服のチカラ”プロジェクト。校内や地域で着なくなった子ども服を回収し、難民などの服を必要とする人々に届けられます。
東大阪大学は、こども学部の教員である中西先生のもと、≪SDGs≫ ≪国際文化理解≫ ≪自分たちにもできる社会貢献を!≫ をテーマに、地域の皆さんとともにプロジェクトを広めたいと立ち上げました。
こども学部2年次「国際こども学」を受講している学生と、敬愛高等学校ファッション創造コースの生徒たちで、力を合わせてプロジェクトを進めています。(新着情報 や 公式Instagram でもたびたびご紹介させていただきました。)
今回のカレッジマガジンでは、9月21日(土)に行われた活動の様子や学生の声をお伝えします。
近隣の保育施設や学校、お店のみなさまや、HPやインスタグラムをご覧になった近所の方のご協力により、
\✨1000着✨/ を超える子ども服が集まりました。心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
これまでの活動の流れ
「国際こども学」の授業では、様々な国の文化や暮らし、教育について紹介することから始めました。次に難民の方々の暮らし、教育事情を取り上げ、学びを深めていきました。学生たちは、自分たちが当たり前に過ごしている毎日が、世界に目を向けると当たり前ではないという事実に衝撃を受けているようでした。
6月、UNIQLO社員の方の出張授業では、敬愛高等学校ファッション創造コースの学生とともに「服のチカラプロジェクト」の活動内容や意義、実際にどのような流れで子ども服が難民の方々へ届くのかを教えていただき、より具体的にイメージすることができるようになりました。
そして、アイデアを出し合い、子ども服回収のお知らせポスターや回収ボックスづくりを始めました。
作成したポスターや回収ボックスを持って、授業の空き時間などに、近隣の保育施設や学校、お店にプロジェクトの主旨を伝えて、参加協力のお願いに回りました。教員を目指す学生たちは、小学校の朝礼にて挨拶をさせていただくという貴重な経験もさせていただきました。
その結果15ヵ所に子ども服回収ボックスを設置させていただけることとなりました。
7月に開催された「こども応援ひろば2024」でも子ども服回収ボックスを設置いたしまして、たくさんの方から子ども服をお預かりすることができました。
9月21日(土)イベント当日
この日は本学学生と敬愛高等学校のファッション創造コースの生徒の他に、緑風冠高校のみなさまや本学卒業生がボランティアとして参加してくださいました。
まずは集まった子ども服を体育館に運び入れ、夏服・冬服・赤ちゃん用に仕分けをしていきました。学生たちはタグを見ながらサイズを確認したり、送れないものがないか先生に聞いたりして、並べていきます。あっという間に体育館が子ども服で埋まっていきました。
仕分けができたら、いよいよ送るために箱詰めをしていきました。1着ずつ丁寧に、こころを込めて畳んでいきます。
そして作業完了! 本当に多くの子ども服が集まり、学生たちは驚きの声とともに、達成感でいっぱいでした。
参加した学生の声
こども学科2年次 堀日向さん
―― 今日参加を決めたきっかけは?
初めは本当に興味本位で、授業の単位とかそういう目的で参加したんですけど(笑)。いざ授業を受けて、難民の子どもたちのことを知るうちに、私にも何かお手伝いができるんだったら、と思って参加しました。
―― 今日参加してみてどうでしたか?
私自身も保育園に回収ボックスを届けたり、回収にも行ったんですけど、こんなに集まると思わなくて…いろんな種類の服もあるし、これが難民の人に届くってすごく素敵だな!って、本当に楽しかったです。
―― これまでの授業を通して気がついたことは?
私は好きな服を着たり、お家に帰ってご飯があったり、家族がいたり、恵まれている生活をしてますけど、世界には働かないと生きていけない小さい子どもや、服がひとつもなかったりする子どもがいるっていうこと、自分が想像するよりもたくさんたくさんいるんだな、と知ってびっくりしました。
初めは興味本位で参加したプロジェクトだったけど、難民の人にもっともっときれいな洋服とか届けたいと思えたし、さっき写真で喜んでる姿を見たんですよ。それが嬉しくて。次回も参加したいなって思っています。
こども学科2年次 石川桜蘭さん
―― 今日参加を決めたきっかけは?
「国際こども学」という授業で難民の子たちの境遇などを知って、元々難民の子どもたちがどんな生活をしてるかも興味があったので、参加したいな、と決めました。
―― 今日参加してみてどうでしたか?
こんなに集まるんだなぁ!って思ったし、早くこの服が届けばいいな、と思いました。
―― これまでの授業を通して気がついたことは?
今はまだこれと決まってはいないのですけど、将来は子どもに関わる仕事ができたらいいな、と思ってます。
就職しても、こういったボランティアに参加していきたいな、っていう思いが芽生えました。
こども学科2年次 岡田翔大さん
―― 今日参加を決めたきっかけは?
東大阪大学に入学を決めたのは、保育士になりたいっていう夢があったからなんですけど、授業を受けているうちに、海外で働きたいなという考えになってきました。
まさに、こういう難民の子どもたちを助ける仕事をしたくて、参加してみようと思いました。
―― 今日参加してみてどうでしたか?
自分が思ってたよりたくさん服が集まって。こういう仕事に就きたい、と思っていたので、とても嬉しかったです。将来につなげられたと思います。
―― これまでの授業を通して気がついたことは?
実は、中西先生に憧れて海外で働きたいな、と思い始めたんです(笑)。かっこいいなぁ!って。
実際、難民やその子どもたちがいるっていうのはなんとなく聞いてたりはしてたんですけど、授業を通じて本当にいるんだなっていうのを実感して。それで今までよりもっと助けたい、って気持ちが強くなりました。だから海外に移住して、現地からサポートできればいいな、と考えています。
まずはもっと状況について詳しく勉強して、英語も勉強して、海外留学で子どもたちに会ったり、大人たちと交流を深めて、日本に帰ってきて、僕が経験したことを広めていきたいと思っています。
アジアこども学科(現:国際教養こども学科)卒業生 外園大翔さん
―― 今日参加を決めたきっかけは?
高校時代にJICA(独立行政法人国際協力機構)を目指して東大阪大学に入学したんですけど、学んでいくうちに、だんだん海外で貧しい子供たちに対してアプローチしていきたいなっていう思いがきっかけで、このプロジェクトに参加しました。
―― 今日参加してみてどうでしたか?
こんなに集まるとは思ってなかったので、実際に集まった服を見ても信じられないくらい・・・すごい光景でしたね。そのお手伝いができて良かったです。
―― 在学中に海外留学をしていたとのことですが
東大阪大学が行っているプロジェクトに参加して、フィリピンのセブ島で、現地の語学学校に海外インターンシップというかたちで留学していました。
ホテル内にある語学学校なんですけど、お客様の99%が日本人の方だったので、日本人マネージャーと言うかたちで、日本人のお客様と現地スタッフの間に立って調整を行ったり、スケジュール変更であったり、お客様のピックアップを行っていました。
―― 留学してみて感じたことは?
やっぱり日本がすごい恵まれているっていうのは一番に感じました。当たり前にご飯が食べられたり、お風呂に入れたり。
セブ島では、水風呂の生活があったり、その日暮らしの生活でご飯が食べられない人もいましたし。日本に帰ってきて、当たり前が当たり前ではないんだな、っていうことを実感しました。
また、入学前と入学後では、自分の価値観が一気に広がったかなぁ、と思います。
最初、自分が海外の貧しい人たちに対して活動をするとしたらJICAだ、としか考えてなかったんですが、JICAだけではなく、様々なアプローチの仕方があることを知ることができたのは、大きな変化でした。
―― 就職先はいかがでしょうか?
原子力、主に発電プラント系の企業に就職することが決まりました。
海外事務で入ると、現地の建設会社と協力して仕事を行うことになるので、一緒に働いている方々の家族までサポートはしっかり行っていきたいと思います。
例えば、日本のように、お餅をあげる、とか、お酒をあげる、とか(笑)。みんなが楽しめるような行動をとっていきたいなぁと考えています。
―― 将来の目標を教えてください
アジア圏に移住して、サポートしていきたいと考えています。
例えば、フィリピンのセブ島では、現地の日本版寺子屋を行っているNPO法人の方がおられまして、語学を教えたり、ご飯を食べさせたりといった活動をされています。
私自身もそのNPO団体に、寄付であったり、いろいろなかたちでアプローチしていきたいと思っています。
こども学部こども学科 教員 中西千奈都 助教
―― 中西先生のご経歴を教えてください
私は本学の卒業生です。こども学科で学びました。卒業後は、日本で小学校教諭として働いた後、海外4カ国で子どもに関わる仕事をしてきました。
日本人学校やインターナショナルスクールで働いたり、ベビーシッターとかチューターなど、個人宅での子どもと関わる仕事もしました。一時期、教育業界だけでは生きていけないんじゃないか、って思ってホテルマンも経験し、そこでホスピタリティーを学びました。
今は教員として、学校の先生を目指す学生や、先生にはならなくても、子どものことを勉強して支えたいっていう夢を抱いてくれている学生のために、いろんな国の子どもたちと出会った経験を語っています。
―― 今回のプロジェクトについてのいきさつをお聞かせください
私が受け持つ授業に「国際こども学」というものがあります。
「国際こども学」って、もうタイトルからしてすごく幅広いので、何を教えたらいいかなぁ、って悩んで、難民キャンプの事を取り上げてみました。
まずは知ってもらうことから始めようと思い、いくつかの国を取り上げて、通貨の違いや食べ物、衣服などについて紹介しました。また、ニュースで見られないような暮らしぶりを、現地の友人から情報を聞いたりして、学生たちに伝えると、「こんな暮らしがあるんだ。知らなかった。」という気づきが生まれました。
そこまでは伝わるんですけれども、何かしたくても経済的にもなかなか募金はできないと、距離ができてしまう。そこで自分たちにもできることがあるということ、達成感を感じて欲しいと思ったので、このプロジェクトをやってみませんか?と紹介しました。
大きなチャレンジだったんですけど、学校の周りにはたくさんの園や学校、お店がありますので、学生が自分たちの足で箱を持っていき、プロジェクトの説明をさせていただく、という経験をしてもらいました。
まず、電話のかけ方から。「お忙しいところ失礼します」から、どんなふうにお話ししたら良いのかっていうのも社会勉強だったと思いますし、回収に伺う時はどのような服装で行ったらいいのか、とか、どのように挨拶したらいいのか、とか、みんなで話し合って計画を立ててくれました。
その結果、15園15施設にご協力いただき、附属の幼稚園でも、ポスターやInstagramを見た、と地域の方が学校に服を持ってきてくださったりと発展していったので、それは本当に学生たちが撒いてくれた種が、どんどんどんどん咲いていったんだなぁ、って感じています。
―― 今日の感想をお聞かせください
こんなにたくさんの服が集まったことに驚きました。小さな力が本当に大きな力になるんだなって。並べる、っていう作業を通して目で見て結果がわかるので、自分たちも学生たちもこんなに集まったの!?って。素直にその言葉が出たのは確かですし、地域の強さというか、この東大阪のこの良さだと思いました。
―― 中西先生が伝えたいことは?
うまく言葉にはできないんですけど、私は小学校教員を務めていたときに、今生きている自分の世界ってなんて狭いんだろう、枠の中で生きてるな、って感じて。羽ばたいてみたいって思って、1歩外に出る、日本を出る、ってかたちをとったんです。
その経験を重ねて、今、学生たちに目を向けてみると、少しでも動くことで夢が広がったり、視野が広がったり。今回のプロジェクトもそうですが、そのちょっとの努力や好奇心で人生が変わってくるよ、って伝えていかなきゃいけないな、って気持ちが引き締まりましたし、同時にすごく手ごたえも感じたのでやってよかったな、って思えました。
人生って1回きりなので、自分の目で見て、肌で感じて、面白そうだな、やってみたいな!って思うことには挑戦してほしいです。
世界は広いです。この取り組みを経て、自分でも少し視野が広がったかな?って思っても、まだまだ私の知らないこともたくさんあるので、今度はこのプロジェクトを通して羽ばたいていった学生が見た世界を教えて欲しいですし、そうやってつながりも作って行けたらいいなって思います。
すごく夢が広がる取り組みだな、って感じています。
学生たちは、この経験や達成感を自信に変えて、さまざまなことに挑戦していくことでしょう。
学生たちだけでなく、このプロジェクトに参加していただいたすべての皆様にも、「小さな力が大きな力になる」こと、「自分たちにもできることがある」ということを感じていただけた機会になったと思います。
“届けよう、服のチカラ”プロジェクト ムービーレポート
音声も収録してありますので、再生の際は音量にご注意ください。