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1・2年次の授業は二限からスタート! こども学部 新時間割「me time」  渡邉由之 教授インタビュー

1・2年次の授業は二限からスタート!新時間割「me time」東大阪大学こども学部 渡邉由之 教授 インタビュー

大学生は本当に忙しい!
高校までとは違い、1コマ90分の授業を5限こなし、クラブやサークル活動に励みながら、初めてのひとり暮らしや生活のためのアルバイトもあって、息つく暇もないくらい……。
そこで東大阪大学こども学部(こども学科・国際教養こども学科)では新しい時間割「 me time 」を始めます。
1・2年次の授業を二限(10時40分)からスタートし「自分のペースで学び、自分らしい朝の過ごし方」を目指します。しかも、オンライン授業や集中講義などを活用し、4年間で学べる科目数は変わりません!

「 me time 」のポイントは5つ!

学生たちが置かれている現状を理解し、学生生活や将来のこと、心身のサポートも含めて考えられた新時間割「 me time 」。

Point1 ゆとりある学び方の実現 Point2 ボランティアや就活の充実 Point3 クラブ・サークルに活用 Point4 相談や談話またはひとりの時間に Point5 心身を整える朝

今回のカレッジマガジンでは「 me time 」の意図や可能性について渡邉先生に詳しく伺いました。
思わず先生の本音も飛び出す!?インタビュー時間でした! ぜひ最後まで読んでいただき、自分らしい大学生活をイメージしてもらえたら、と思います。(インタビュー日:2024年11月)


―― me time 」導入のきっかけは?

アルバイトで生活を支える学生も多く、もちろん授業もあるので、そうなると時給の高い夜間にシフトを入れることになります。バイト明けにちょっとだけ休んで、急いで身支度を整えて、朝9時から始まる一限目に来ないといけない。でも疲れているから寝坊してしまって、遅刻や欠席が重なり、単位を落としてしまう……。
僕は赴任して9年目ですが、そういう悪循環を止めたいなぁとずっと思っていて。朝の時間にゆとりを持たせて、学びやすさに繋げるようなサポートがなにかできないかと考え出したのがきっかけです。

―― それがポイント1「ゆとりある学び方の実現」ですね

Point1 ゆとりある学び方の実現

忙しすぎる学生生活だから、みんな朝くらいはゆっくり寝かせてほしいって絶対に思ってるんです(笑)。
授業終わって、夜遅くまでバイトして、朝必死になって起きて、通勤ラッシュに揉まれて……社会に出てからやることを、もう大学生からやらなきゃいけない。それで疲弊しちゃうと思うんですよ。僕は通勤ラッシュすごく嫌いです(笑)。
睡眠は大事です。日本の若者は相対的に睡眠が少ないと最近指摘されています。睡眠不足だと日中の集中力が下がるので、そんなことを続けていては大学の学びは深まらないんですね。

―― そこで自分のタイミングに合わせて学ぶことができるオンデマンド授業が活用されると

東大阪大学ではコロナ禍以前より「学びの泉」というオンデマンド・ラーニングサイトを提供しています。
対面授業が絶対な科目もありますが、デメリットは「1回限り」ということなんです。例えばノートをとるのが苦手な学生がいます。授業を受けてもノートはとれないし、聞くにも追いつけないので、授業一回分がどっちつかずになってしまう。そういう学生たちは繰り返し聞くことができるオンデマンド授業が絶対にいいです。

小中高でICT教育(電子黒板やプロジェクターを導入したり、タブレットなどの電子通信機器などを活用したりしながら行う教育手法)が導入されてから、完全に耳からの学習を優位にしていくような学びへと変化しました。僕には小学校に通う息子と娘がいますけど、先生が電子黒板に書いたものをタブレットのカメラで撮って保存するっていうノートのとり方をする授業もあるんですね。
書くことも覚える上ではすごく大事です。だけど彼らがこれから馴染んでいく世界は、僕らの子どもの頃とは違う。授業の内容を動画や写真で撮影して保存し、振り返って何度も何度も復習できる。
また、企業もフレックス制を導入しているところが増えてきて、働き方も変化している社会のなかで、大学も変わらなきゃいけないかなと思います。

―― 今まで多くの学生にインタビューしてきましたが、教員免許を取得するにあたり、夏休みを返上したりとか、とにかく時間が足りない、という話をよく耳にしました

大学に行くことが当たり前の時代になりましたが、本当はみんな必死で大学に通っていて、資格取得を目指す学生はことさら忙しい。でも、就職面接などで他の学生とどこで差をつけるのか?ってなったときに、積極的に自分から働きかけて、そこで継続できた活動が優先視されます。「大学時代に力を入れたことはなんですか?」って聞かれて、「大学に通ったことです!」ではアウトになっちゃう。
じゃあ「アルバイトやボランティアをがんばりました!」って言えるといいのですけど、今のままではどこにその時間があるの?って。

Point2 ボランティアや就活の充実

そこで、東大阪大学は3・4年次にボランティアとか就職活動を点数化して単位認定していく科目がありますが、できれば1・2年次からなじんでおいた方がいい。東大阪大学には附属幼稚園もあるし、正面には西堤小学校もある。もちろん自分の行きたい幼稚園や保育園、小学校に行くこともできますが、例えばこの「 me time 」を活用して、9時から10時30分まで西堤小学校へ行って、10時40分の二限に間に合わせることもできるわけです。

―― ポイント2「ボランティアや就活の充実」に繋がるわけですね

小学校教員の場合は、履歴書に無条件でアルバイトやボランティア経験を書く欄があります。今、3年受験もできるので、3年次の受験時に書けたらすごく有利なメリットなんです。アルバイトで入ったとしたら、履歴書にも書けるし、お金ももらえるし。

―― me time 」のお話を聞いた時、クラブ活動を頑張っている学生にも、とてもいいなと思いました。野球部のみなさんに午前中は授業よりも練習に充てていると伺いましたから

Point3 クラブ・サークルに活用

そうですね。全学生が同じラインから学びをスタートできます。陸上部は暇があれば走ってるんです。授業終わって走って、授業出て、また授業終わって走ってって。
me time 」ができれば、朝まとまった練習をして、授業が始まったら学びに集中して、終わったら夕方からも練習ができる。クラブ活動を頑張っている学生は活用しがいがありますね。

―― 時間にゆとりができることで、気持ちにもゆとりが生まれますよね

例えば今の大学1年生はコロナ禍で14歳くらい、中学生で思春期ど真ん中だったんですよね。自分たちの心身が変わっていくなかで、進路の問題も重なって、不安をなんとか飲み込んできた人たちだと思うんです。そうすると今でも自分で何か決断するときに不安がよぎったり、ささいな事で落ち込んでしまう子がいたりするんですね。コロナ禍がすごく尾を引いてるなと。だから今までの学び方が通用するかわからない、いくつも学び方を選べるようにしておいたほうが良い、というのは絶対です。

さらにこれから入ってくる子たちは小学校や中学校に上がる時にコロナ禍で、どん、と何かがなくなった人たちだとも思う。今の大学生よりも心の揺れが大きかったかもしれない。
ただでさえ「小1プロブレム」といって、幼稚園と小学校の違いになじめない子がいたり、中学校でも小学校との違いに挫折する子がいたりするんです。「1年目」っていうのは環境の変化にとまどう時ですので、それは小中高だけでなく大学1年次でもきっとあると思うんですよね。

特に東大阪大学は、担任制なども導入していて、教職員みんなで学生たち全員に目を配ることができます。例えば、あなたは遅くまで起きてたから月曜日はゆっくり寝てください、とか。でも火曜日は キャリサポ 行って勉強しましょうね、とか。学生ひとりひとりを丁寧に追いかけられるんですよ。だから「 me time 」は東大阪大学の環境にもすごく合ってるし、個に合わせる、個を伸ばす、という学び方に繋げていける可能性を開いてくれると思っています。

―― ポイント4「相談や談話またはひとりの時間に」使えるわけですね

Point4 相談や談話 またはひとりの時間に

8号館と9号館の1階にはラウンジが、9号館の4・5・6階にはラーニングコモンズというスペースがあって、学生が自由に使えます。今でもそこで朝早く来て勉強している学生の姿をよく見ますし、キャリアサポートセンターが今、賑わっているんです。キャリサポのスタッフがすごくがんばってくれていて、就職についての情報提供やボランティア先の新規開拓、もちろん面接相談もしています。ただ現状、学生たちが時間を取れるのが昼休みしかなく、どうしても混み合ってくるし、予約も取れなくなる。そこで「 me time 」を活用して、2年生から就職活動を早めに始めたい学生たちは相談を受けることもできます。
僕は「 me time 」の可能性は大きいなと思っていて、学生に聞いてみると一限がないという嬉しさが相当なんですよね。特に月曜の一限は絶対になくていいと言います。僕もそう思います(笑)。
ただ、だらだらと過ごしてしまうおそれもあります。「 me time 」の活用方法についても、学生たちがどう使ったらいいか悩んで無駄にしないように、声掛けやモデルケースなど提示できるようにしたいな、とも思っています。

―― そこまで寄り添っていただけるのは、不安を抱えた学生たちにとってはとても心強いです

モラトリアム(比喩的に、社会人となるべき自信がなく、大学の卒業などを延ばしていること)はしていいと思うんですよ。悩むとか葛藤するとか。そのうえで自己選択して決めたことには、必ず根拠がある。ただ、納得しないでポンと決めてしまったり、自分で悩まずに周りの言葉に従ってしまうと、自分の心が育ってきたときに違うな、と思ったりしちゃう。早めに内定もらえた学生でも、安心してると思いきや、迷いが出てとりやめてしまったり。
彼らが悩む時間を奪ってはいけない。どんなにかかっても、ゆとりを持って自分の時間軸で選択していく時間が大事だと思っています。

―― 悩む時間、ポイント5の「心身を整える朝」ですね

Point5 心身を整える朝

人生の中で、朝早く起きて仕事に行く、学校に行くっていうのを、退職するまで、死ぬまで続けるのは大反対です(笑)。僕は、人生のなかで怠ける時間というか、ゆとりのある時間を、大学が率先して作ることは大事だと思っています。もしもそのせいで生活が乱れてしまったら、僕らは改善を図るための手を入れます。
少子化が進んで育児のしやすさを、とか言ってるけど、出勤時間が9時、退勤時間は17時。そんな時間設定しているから子どもの送り迎えができない。でも「 me time 」を導入することによって、大学は二限から始まって楽だったなぁって実感した学生たちが社会に出て、率先してそういう働き方を優先してくれたらいいなって思います。僕が大学教員になったのは、子どもを送り迎えできるって思ったのもあるんですよ。
幼稚園受験から始まるキャリア教育。キャリアパスポートで自己評価にがんじがらめになり、枠からはみ出ることは悪いことだと教えられて、受動的な人間が育っているような気がする。視野を世界に広げてみたら、クリエイティブな発想だったり、こっちの方が絶対にいい!って言える人は育つのかなぁと危惧していて。僕はちょっとおかしな人がいいなぁと思ってる(笑)。
me time 」で自分とその周りを見つめるきっかけをつかんで、いずれは社会の改革者になって欲しい。僕の大きな夢です。


現代社会の問題や、学生それぞれが抱える課題点など、不安要素はたくさんあると思います。
東大阪大学の強みは、先生たちとの距離が近く、ひとりひとりに細やかなサポートができること!
大学生活だけでなく、今までのこと、将来のことも考えて寄り添ってもらえます。
みなさんが東大阪大学で大いに悩んで、先生たちにいっぱい相談して、目標に向かって歩き出せるようになってくれたら嬉しく思います!


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