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インタビュー vol.23 東大阪大学短期大学部 学科長インタビュー

東大阪大学短期大学部 学科長インタビュー

東大阪大学短期大学部の3つの学科それぞれの学科長に、入学後どのようなことが学べるのか、さまざまな経験、またその魅力についてお話を伺いました。(インタビュー日:2021年10月)

※インタビュー中はマスクを着用し、写真撮影時のみ外しております

東大阪大学短期大学部 実践食物学科 学科長 山下絵美教授 他の学校にはない「ストロングポイント」

「産学連携」で貴重な体験を

本学は「産学連携」に力を入れています。近年だと、道の駅奥河内くろまろの郷様とコラボレーションし、学生が考えたメニューをイベントで販売しています。1年目は河内長野特産のバターナッツカボチャを使用したコロッケ、2年目はそのコロッケを活かしてバーガーにしました。

まず河内長野産のバターナッツカボチャを活かしたメニューを考えてほしいとのことでお話をいただき、特性を活かすような調理は何かと考え、販売するにあたりコスト計算をしました。さらに大量調理するには手順も大事ですので、作りやすい作業工程も含めて、2年生で学べる大量調理の技術を活かして、学生たち一丸となってプロデュースしました。
おかげさまで完売することができ、学生たちにはそれが非常に大きな経験になったようです。現場の生の声も聞けますし、自分たちの考えた商品を、お客様がお金を出して買っていただける、という貴重な体験だったと話していました。

河内長野特産のバターナッツカボチャを使用したコロッケとバーガー

「ストロングポイント」

本学科の「ストロングポイント」として、「教育コスパ3つ星」、「スポーツ栄養」、「保育栄養士を目指そう」、という3つを掲げています。

まず「教育コスパ3つ星」ですが、私ととある学生さんとの対話で浮かんできたキャッチフレーズです。
関西の短期大学部の中で、栄養士免許だけでなく、栄養教諭免許を取れるところは割とありますが、中学校の家庭科教諭になれるという学校は、ほぼなかったそうです。その学生さんは、「2年間の学びの中で、栄養士免許も取れて、栄養教諭免許も取れて、中学校の家庭科教諭免許も取れて、さらには社会福祉主事任用資格やフードサイエンティスト、さらに望めばテーブルコーディネートという6つの資格を取ることができる東大阪大学短期大学部は教育コスパがよい」と発見しまして、「教育コスパ3つ星」というキャッチフレーズを付けました。

「スポーツ栄養」については、本学はアスリートでありながら学生、といった立場を共有している方が多いので、学内でできるサポートをしていこうと、主にゼミの中で取り組んでいます。陸上競技部の女子アスリートの栄養サポートとして、競技特性に適したメニューを考え、実際に食事を提供して評価をいただくという卒業研究です。そのサポートについて、野球部からも問い合わせがありますので、それを授業に広げていこうと考えています。

「保育栄養士を目指そう」については、本学は実践保育学科もあり、本学科の子どもが好きな学生が栄養士として幼稚園や保育園に就職すると、実践保育学科の卒業生がすでに勤務している、というパターンが多いんですね。さらに学内にこども研究センターがあり、お母さんと小さいお子さんを見る環境が整っています。そういったことから、子どもたちの栄養に関与して、健康を守りたい、といった学生も近年増えておりますので、ストロングポイントの3つ目としました。

今年度は、「教育コスパ3つ星」との評判を聞いて、福岡から学びに来てくれた学生もいます。その方は中学校の家庭科の先生を目指しています。就職してから使える資格の道も開けていますので、その点は夢があると思います。

「知る」ことの大切さ

最初の学生時代は江戸文学を専攻し、卒業後銀行員として働いていました。やりがいはあったもののとても激務で、健康について見つめなおしたのが食に興味を持ったきっかけです。そこから野菜に興味を持ち、色々調べていくうちに、体系的に勉強をしたいと思うようになり、管理栄養士養成校に入学しました。
また学生の時に「大阪産(もん)」という、大阪で採れた農産物を活用したお弁当コンクールにチャレンジしたことがありました。そこで「なにわの伝統野菜」を知ることになり、研究を始めました。

「なにわの伝統野菜」について調査してわかりましたが、変わった形の野菜は、店頭に並んでいても手に取らない傾向がありました。この大阪の地で栄養士を養成していますので、もし、その野菜に対しておいしい食べ方があったら手に取るきっかけになったり、未知の食材にもチャレンジしてほしい、という想いで「応用栄養学実習」という授業を担当して、毎年なにわの伝統野菜、夏野菜を使用した調理実習に取り組んでいます。

生徒の反応も楽しいですね。最初は形や調理方法に戸惑いも見られます。例えば、長さも普通のキュウリの倍ぐらいある毛馬胡瓜や玉造黒門越瓜、鳥飼茄子(とりかいなす)、そして勝間南瓜(こつまなんきん)というかわいらしいカボチャを取り扱いました。
伝統野菜というのは、大阪の地でおおよそ100年前からある野菜といった定義ですので、メニューとしては和食が浮かびがちなんですね。でも学生さんはそれにとらわれないので、「勝間南瓜プリン」など洋食のメニューも考えてくれます。面白いなと思ったのが、玉造黒門越瓜はだいたい漬物にすることが多いのですが、それをポトフに入れていました。なるほど、と。学生さんならではの発想ですね。
知らない食材ってみなさん怖いんです。でも食べたら「なあんだ」って。なにわの伝統野菜も、調査すると、食経験がある人の方が、普通の野菜に比べて1~2割値段が高くても購入する、という事実も浮かび上がってきました。知るって大事ですね。

高校生へメッセージ

まず、食に興味を持っている学生さんに来てもらいたいと思っています。
2年間という短い学びですので、必ず「栄養士になるぞ!」っていう意識は持っていてほしいです。そうすれば学生生活はきっと充実しますし、その目標を持っていた方が、学びが自分の中にすっと入ってくると思います。
どんな栄養士になるか。それは迷っていてもいいと思います。例えばその人の健康を考え、メニューを提案できるような栄養士になりたいですとか、子どもたちの栄養をサポートする保育栄養士になりたいですとか、今は高齢化社会ですので、高齢者の食事の楽しみを提供できる栄養士を目指したいですとか、いろんな栄養士像がありますので、それは入学してからのお楽しみですね。

東大阪大学短期大学部 実践保育学科 学科長 野々村宜博教授 教員一丸となってフォローする、アットホームな学科が自慢

現場で即戦力になる

本学科の1番の目的は、幼稚園の2種免許を取得するということと、保育士資格を取得するということです。実践という名前がついていることからお分かりの通り、現場で役に立つ技量、これを2年間で教員一丸となって形成させようというのが、学科全体の趣旨です。
就職先としての割合は、保育園・保育所が1番多いです。近年は幼稚園の求人自体も増えてきております。あとは施設関係ですね。施設の場合は、実習に行ってみて自分に向いているなと気づく学生が多いですね。乳児院や児童養護などで活躍する卒業生も多くいます。

ダブルアシスト制度とは

本学科はA・Bクラスそれぞれ一人ずつ担任がおり、さらに学生5~6人につきひとりの教員が付くダブルアシスト制を設けています。一人の学生につき、複数の教員が責任を持つというような形です。その学生に何かあれば、すぐ教員同士で話し合って指導できるように、また学生たちが、日時問わず自由に相談できる環境を整えております。だから教員と学生の関係性はとても近いものができあがります。
本学科は、子どもが好きだから子どもに関わる仕事に就きたい、特に保育士を目指す学生さんが多いです。保育に興味があるということは、人に興味があって、人と話すことが好きな学生が多いので、非常にアットホームな学科です。
卒業式にもうお別れか、とさみしくなることもありますし、卒業してもよく遊びに来てくれたりするのはうれしく感じます。

専門分野は刑事訴訟法

こども学からは真逆の分野ですが(笑)。
授業内容としては、幼稚園での事故や子ども同士のいじめなど、どういう状況下で、どういう基準で、だれに責任が課せられるのか、いざというときにどういう基準で処せられるのか、を教えています。子供に関係する過去の事例はできるだけ機会を設けて取り上げています。
この分野で、子どもに囲まれて楽しい時間を過ごす体験ができるのは私ぐらいじゃないでしょうか(笑)。貴重な体験ができて、毎日楽しくて仕方ないですね。振り幅が大きい人生を過ごしています。

高校生へメッセージ

不安に思っている高校生は多いと思います。特にピアノなど音楽ですね。本学には個室のピアノ室がいっぱいありますし、ピアノの先生が懇切丁寧に指導してくださいますので、その点は安心していただきたいです。
また保育の学科ですので、座学だけではなく演習、そして実習、ボランティアなど、これらを授業の中にバランスよく構成されていますので、ダイナミックな2年間が過ごせると思います。
本当に家庭的な学科ですので、それが好きな方は絶対お勧めです!何かあれば全教員でフォローします。そこが最大のセールスポイントです。

東大阪大学短期大学部 介護福祉学科 学科長 石鍋浩教授 一人ひとりが生きてきた歴史があって、今がある。

介護のプロになるための教育を

介護とは高齢者のお世話をするというイメージがあるかと思いますが、ただお世話をするだけではなく、例えば現場のスタッフの指導をするというような、全体をまとめる役割も介護福祉士は持っています。
そしてやはり人を相手にする仕事なので、当然人間の体の事もわからないといけない。例えば食べ物を飲み込むことができない人がいるんですね。じゃあどうしてできなくなったのか、それを知って、どうやったら安全に飲み込めるようになるか、そういうことをわかった上でお世話をするのと、ただとにかくお世話をするっていうのは、レベルが全然違いますよね。そういった専門的な知識を持ったプロを育てようと私たち教員一同頑張っています。

それから、もっともっと先のことになるかもしれませんが、さらに大学院などで学んで、研究もして、教員として本学科に卒業生が戻ってきてくれたら、すごく良いことだなと思います。

人間としての成長

人を援助する対人援助職というのは、学生からもよく聞くんですけれども、一人ひとりが生きてきた歴史というものがあって、今がある、ということに触れる仕事だと思います。
例えば、冬なのにかき氷が食べたい、と無理なことを言ってきた場合、その時に「いや今もうかき氷なんか売ってないよ」とすぐに否定するのではなく、どうしてかき氷が食べたいのか、その人の背景がわかった上で、どうしていくかっていうことを考えないといけない。
介護について、世間一般のイメージよりもっといろんなことを知らなければいけないし、人格を磨くところももちろんですし、実はそういうものが1番求められる、そういう領域だと思います。

留学生との学生生活

メディアでも盛んに報道されていますが、介護の人材はすごく不足しています。
これから先を考えたときに、外国人の人材にも日本の社会で活躍してもらわない限り、立ち行かなくなるというのは、将来的にも予想されていることです。

そこで本学では、他の学校に少し先駆けて留学生も受け入れて、介護福祉士としての人材を育てよう、という目的も持って設立しました。
ただ外国人の人材を育てるという事だけではなく、最近よく言われている「多文化共生」という言葉がありますが、本学のキャンパスで、日本人と留学生が一緒に2年間を過ごすことで実践していけるというのが1つの特徴だと思います。
実際、日本人の学生から、授業中にディスカッションをしたときに、そういう考え方もあるんだとか、同じ物事でもこんな見え方もするんだ、という気づきがあるという話を聞きます。それは、本学のようにいろんな出身地の学生がいる環境じゃないと得ることができない、本学ならではの特徴だと思っています。

お互いに自分の考えを交換し合うことで、良い効果を生んでいける環境です。

高校生へメッセージ

本学科は、学生が明るくて、みんな仲が良いというところが、私は一番いいなと思っています。
まだ学科ができてから年数は浅いですが、人間的にも素晴らしい学生がいっぱい入学してきてくれて、みんなで毎日楽しく学んでいます。
人と接する仕事に就きたい、ただお世話をするだけじゃなく、もっと専門的な知識を持ってやっていきたい、人と人とのつながりを大切にしていきたい、という高校生の方がいらっしゃれば、ぜひ一度遊びに来てください!どれだけ学生たちがみんな楽しそうなんだろう、と感じてもらえるんじゃないかな、と思います。


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