インタビュー vol.14 鷹野 和美 学科長
介護現場に人が足りないということで処遇改善が行われていて、介護福祉士の給料は上がっています。しかし、一旦定着してしまった評価はなかなか覆らないもので、介護職は給料が安いというイメージが今も根強いかもしれません。ここで重要なことは給料が上がっているのは介護福祉士ということです。介護現場には「介護福祉士」「実務研修済みの人」「初任研修済みの人」そして「無資格の人」が居ます。しかし、これらをすべてひっくるめて「介護職」と言われています。介護のプロフェッショナルだけでなく、介護現場で働く一般人も含まれてしまっているのです。だから、国の政策として「介護福祉士」の給料を上げることで、介護現場の質の向上を図っています。現在、介護現場で働いている人(資格を持っていない人)にも、ぜひリカレントして介護福祉士を目指してほしいですね。
また、技能実習生として外国人がどんどん日本へやって来ています。社会が成熟して経済的に豊かになると長寿になって人口が増え、するとお金の掛かる社会になり、子どもを育てにくくなる……少子高齢化は世界的な問題です。先進国では介護の知識と技術が必要に迫られています。そこで、アジアの中でも介護の技術が進んでいる日本に留学してきているんですね。介護現場はどんどん国際化しています。
介護福祉学科には多くの留学生が在籍しているので、国際的な感覚を身に付けながら介護福祉士の勉強をすることができます。この「国際的な感覚」というのは口で言うほど簡単なものではありません。例えば、現場にムスリムの人がいた場合、お祈りをするときはその人をシフトに入れてはいけないんですね。仕事のこと以外でも、例えば韓国では目上の人とお酒を飲むときは横を向きます。日本人からしたら失礼な気がしますが、韓国ではそれが礼儀です。本学科では日常的にさまざまな国の学生が一緒に勉強しているので、そういう「国際的な感覚」が自然と身に付く環境なんです。
政府の方針として今後、介護現場には大量の外国人が採用されていくでしょう。いざ介護福祉士になったとき、現場に外国人がいたとしても、本学科でさまざまな国の学生と2年間過ごした経験は生きると思います。
僕はもともと病院で働いていました。当時の病院は病気を発見して治療する、そこまでだったんです。でも、それじゃダメだと僕は思いました。あるとき、退院した患者さんに町でばったり会いました。毎日リハビリで歩いていると言うその人に、僕は「頑張ってますね、本当に良かった」と言ったんです。すると、その人は「綺麗事を言うんじゃない。あのとき命を助けたから、今こんなに苦労しているのに」と。それだけじゃなくて、退院した患者さんのその後を調べてみると、3ヶ月もするとみんな寝たきりになってしまっていました。あれだけ必死に救命して、あれだけ一生懸命リハビリをして、なんとか動けるようになって退院したのに…。そこで、退院した人をもう1度病院に呼んでリハビリをやりたいと考えました。これが日本初のデイケアです。当時は介護だと意識せずにやっていましたね。医療と介護って、ひとつのものだと思います。何かがあって病院に来て、治療して、そこで終わらせるのではなくて、医療と介護には連続性を持たせなくてはならないんです。
今後、日本は「全面的介護」から「自立支援介護」へ向かっていきます。今までは全部してあげることが介護だと思われてきましたが、これからは「座れるんだから、立ちましょう」「立てたら、歩きましょう」という寝たきりにならないようサポートしていく介護が求められます。自分で動くことができれば、最後まで自分で自分の人生をデザインすることができますよね。介護福祉士は命の尊厳を守ることができる仕事です。
「自立支援介護」と先程お話した「介護現場の国際化」。この2つに対応できる介護福祉士が、これからの日本の介護現場を引っ張っていくことになると思います。
「日本の介護現場を良くしていこう」「日本の介護福祉を充実させよう」「自分がその中心になってやろう」そういう強い気持ちを持っている人は、ぜひ本学に入学してください。本学科の教員はみな学位を持った学者です。新しい学科だからこそ、新しく集まった教員が、これからの日本に必要な新しい知識と技術を教えることができます。私たちは日本最高峰の介護福祉学科として、質の高い介護福祉士を輩出していきます。
国際的な環境で、最先端の知識と技術を身に付けた介護福祉士を目指しましょう!