COLLEGE MAGAZINE

インタビュー vol.10 渡邊 ルリ 学科長

「こども学科」の学びの視点を学科長にお伺いしました。

渡邊 ルリ こども学科長
COLLEGE MAGAZINE vol.24 Interview vol.10

「こども学科」で学べることと、卒業後の進路について教えてください。

「こども学科」では「小学校教諭1種免許状」「幼稚園教諭1種免許状」「保育士証」「認定ベビーシッター資格」などを4年間で取得することができます。卒業生は、幼稚園や小学校の先生、保育士として子どもの現場で働いています。また、保育用品や遊具関連の会社、教育産業など、子どもに関わる様々な企業でも活躍していますし、他大学の大学院でさらに研究を深める学生もいます。
授業のうち、講義・実技では「教育」「心理」「福祉」「芸術」「国際文化」などそれぞれの専門領域から子どもについて学びます。保育と教育に必要な知識と技術を身につけ、演習や実習を通して、実際に子どもたちと触れ合い、「知識」と「経験」を一つに繋げていきます。

「実際の現場」を体験できる「こども研究センター」について教えてください。

「こども研究センター」は、地域と連携して子育て支援・教育相談などの実践活動を行っており、教育活動の場としても大きな役割を担っています。
最近では、なかなか赤ちゃんと接する機会がないという学生も少なくありませんが、「こども研究センター」には、学生が自然と子どもたちや保護者と接することができる環境が整っています。保護者と接すること、その話を聴くことは、とても大切です。子どもの背景には保護者がいて、その家庭環境があります。子どもについて学ぶ上で、それを理解することは避けては通れません。実習だけでなく、普段から子どもや保護者と触れ合う機会が多いことが、他の学校にはない魅力のひとつです。

進路指導で工夫をされていることはありますか?

明確な目標を持って入学した学生でも、講義を受けたり、実習へ行ったりして、新しい出会いや様々な経験をしていく中でそれが変化していくことがあります。私たち教員の役割は学生のそういう微妙な気持ちの変化を読み取って、一緒に進路を考えていくことだと思います。学生はひとりひとり個性も違いますし、それぞれ経験に応じて成長していきます。
小学校・幼稚園・保育園・施設には、各々教育方針や地域による特色があります。実習を経験してさらに広く深く学びたい場合は、担当教員やキャリアサポートセンターを通して、園や施設のボランティアに参加できます。事前に小学校でのボランティアを経験することで、実習でも緊張することなく、積極的に子どもたちと触れあって学べた学生は多く、一方、子どもに関わる学びや実践経験を活かして、教育系企業に就職した学生もいます。こども学科では、4年間を通して教員みんなで学生を見守り、サポートしています。

学科長として、どのように取り組まれていますか?

こども学科では、「教育」「心理」「福祉」「芸術」「国際文化」など様々な専門分野から子どもにアプローチしており、教員はその専門領域で、子どもの現状と問題点を捉えると同時に、それぞれ目指すべき理念を持っています。
たとえば、私の専門分野は文学です。授業では、「絵本や物語は、子どものために何ができるか」「子どもの視点と大人の子どもへの愛情が、どう結びついて表現されているか」を学生と考えます。
文学は現実そのものではありませんが、「現実のひとつの可能性が選ばれたもの」です。ですから文学作品を読むことで、様々な可能性を生きることができます。本来は実際に体験することが一番ですが、何もかもを体験することはできません。文学を通して「国や時代を超えて、自分以外の人間が何を感じているのか」を知る経験は、読者である子どもたちや学生の「心の中の引き出し」にしまわれます。
世の中には自分以外の誰かの現実があって動いている、それを感覚としてつかむことで、誰かを思いやり、相手の気持ちを察する力が自然に育まれていきます。たとえ、読んだときには理解しきれなかったとしても、「読んで経験したこと」はいつか実体験と繋がる日がくるでしょう。悲しく孤独なときには「こことは別の世界がある」という感覚が、内側から支えてくれるでしょう。文学を通して、そんな「心の中の引き出し」を作っていくお手伝いをしていくことが、私の願いです。
こども学科では、教員が各々の専門領域の中で学生に伝えていく、子どもをめぐる現実の課題と、子どものための理念とを、深い関わりにおいて捉え直し、子どもが幸せに成長していくための目指すべきあり方を、多角的視点から学生に提供していきたいと考えています。

入学を考えている高校生にメッセージをお願いします

皆さんは「子どもが好きだから、子どもと触れ合う仕事に就きたい」といった希望を持って入学されると思います。子どもを取り巻く現実は複雑で、難しいことがたくさんあります。東大阪大学ではその現状について、様々な専門領域から「なぜ、そうなるのか?」と問いつつ学んでいきます。
どうか皆さんは、最初の「子どもが好き」という気持ちをずっと大事にしてください。複雑な現実を理解した上で、「子どもの視点」に寄り添って、「では、自分は子どもたちの幸せのために何ができるのか」ということを、見つけてもらえたら嬉しいです。
東大阪大学でたくさんの経験をして、自分以外の誰かの経験も我がことのように感じて、相手の気持ちや状況を想像しながら、一緒に学んでいきましょう。

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